2018年9月30日日曜日

魅力的な服の理由

街を歩いている人の服を見て、いい服だなあと振り返りたくなる時があります。雑誌のページをめくっていて、載っている洋服の写真から目を離せない事もあります。

奇をてらったデザインというわけではない、ブラウスやジャケット、パンツ…。特別なものではないのに、いい洋服だと目を止めたくなる理由は、いったいどこにあるのでしょう。
例えばブラウスだと、衿やポケットのまるみはなめらかな線になっていること。ジャケットだと、打ち合わせの上と下が合っていること。パンツだと、腰の線に沿い余分なシワなどが出ていないこと。つまりは、基本的なところをないがしろにしていない、当たり前の事が当たり前にできている、そういった洋服が人の目を引く魅力を持っているのです。

基本的なところをきちんと仕上げるためには、重ねる手間を惜しまず、培った技術を活かして縫製をすることが必要です。

そのように丁寧に作られたいい服は魅力的な印象を与えるのでしょう。着ている本人も楽しい気分で元気よく過ごせるようになります。一着、一着、そんな服を増やしていければ楽しみも増えていくのではないでしょうか。

2018年8月31日金曜日

洋服を手入れする日常

ここしばらくは短い時間で数多くの洋服を買い、消費していく、そんなファストファッション全盛の時代です。

しかし、洋服を手入れして、大切に長く持つものにするのも、また素敵なものです。お気に入りの洋服を、手洗いしたり、アイロンがけしたりして手入れをする。そんな時間も楽しむことができるのではないでしょうか。

生地を見極めて裁断し丁寧に縫製された洋服は、洗って干す時に歪みが出にくく、型崩れを起こしにくいです。また、歪みが出ないので、アイロンが気持ちよくかかり、掛けるときの生地のダメージも小さくなります。結果的に洋服が長持ちします。そうした洋服は手入れを重ねることで段々と自分に馴染み、愛着のある自分だけの服になっていきます。

手入れの甲斐があるような、きちんとした洋服を選んでいけば日常が変わっていくかもしれません。

2018年7月30日月曜日

袖を付ける

服は様々なパーツで出来ています。それぞれのパーツの出来不出来によって、全体の印象は大きく左右されます。その中でも、特に袖 (そで) の仕上がりは服の品格を決める重要な要素です。

胴体部分つまり身頃 (みごろ) に袖をつける工程は、平面の布を縫い合わせて立体にする必要があるため、簡単ではありません。デザインにもよりますが、袖が身頃にふわりと載っていることが、袖の取り付けとして最良な状態です。

良い仕上がりのために、袖の縫代 (ぬいしろ) に非常に細かいしわを入れます。このとき、しわを入れようと意識するのではなく、二枚の布のひっぱり加減で機械自体が細かいしわを入れるという感覚で縫うと、表側には響かせずに立体的な袖がつきます。

このように縫われた袖は、自然に身頃に沿うように出来上がるのです。それは、縫う人の熟練の技術と豊富な経験で出来ることであり、これらが服の上質さを支えています。

2018年6月29日金曜日

アイロンの重要性

洋服は、デザイン画から型紙を作成し、型紙に沿って生地を裁断し、裁断された生地を縫製して作られます。この製造過程では、鉛筆、ハサミ、ミシンなどたくさんのスタープレーヤーが登場するのですが、今日は縁の下の力持ち、アイロンの話をしようと思います。注目はされませんが、アイロンは洋服作りのいろいろなところで活躍しているのです。
アイロンは、生地のしわを伸ばすことに加えて、生地に折り目をつける役割があります。

折り目をそれぞれのパーツに付けておくことで、縫製の作業はとてもしやすくなります。例えば三つ折り。切りっぱなしのパーツの端を2回折ってほつれなくする処理のことです。この作業を折らずにやると少しずつズレていってしまいますので、上等の洋服では先にアイロンで折る処理が欠かせません。また、ポケットや襟ぐりの端を、先にアイロンを使って折ることで、スムーズに縫い付け作業ができ、美しく仕上がります。

アイロンは縫製中だけでなく、縫製が終わったあとの仕上げにも活躍します。アイロンの仕上げによって、縫製中についた余分な折り目やしわが除かれ、縫い目が整います。ここでの力のかけ方ひとつで、ふわりとした感じやパリッとした感じをになるよう調節し、デザインを際立たせることができるのです。

アイロン掛けは、布地をすばやく温め、すばやく冷ますとより効果的です。そのために、業務用のアイロンは熱をたくさん蓄えるため大きく、アイロン台は蒸気を一度に吸い込むように工夫されています。畳ほどのアイロン台が、大きなアイロンから出た蒸気を一度に吸い込む様は、ちょっとした見ものです。

このように、アイロン無しには縫製の良さも生地の風合いも活かすことはできません。縁の下の力持ちは良い製品の要なのです。

2018年5月31日木曜日

裏地について

世の中にある大半の服、スカート、パンツには裏地がついています。表からは見えない裏地は、一見すると全く重要ではないように思いますが、実際には多くの点でこれらのアイテムを支えています。
裏地には硬い裏地と柔らかい裏地があります。硬い裏地には服の形を決めたり、型崩れを防ぐ役割があります。一方、柔らかいものは形そのものをつくる機能はありませんが、透けてしまうのを防いだりといった役割があります。
裏地は着心地にもかなり影響します。一番大きい部分は、服のすべりです。もしも裏地がついていなければ、引っかかって動きづらくなります。また、服に空気の層を持たせることで、暖かさにも一役買っています。裏地がない服では縫い代が露出しているので、引っかかって少し着心地が悪くなりますが、裏地がついていればこういうこともありません。
このようにいろいろな機能を持った裏地ですが、取り付けるときには色々と注意しながら縫製する必要があります。
表地に対して裏地は少しだけ大きく作ります。こうすることによって裏地にゆとりを持たせ、運動の邪魔をしないようにすることができます。裏地の余った部分はアイロンで抑えて表地に響かないようにしておきます。
裏地の厚さも、デザインに影響するので表地と目的にあったものを選びます。厚いものは表地に張りを与え、薄いものは逆に影響しないようにできます。
裏地の伸縮性も重要なポイントです。ニットのような伸び縮みする表地にはやはり伸縮性のある裏地を取り付けます。
裏地は見えないところでしっかり働いているのです。

2018年4月21日土曜日

端正なタイトスカートを仕上げるために

スカートにはプリーツスカート、フレアスカート、ギャザースカートなどいろいろな形がありますが、最も基本となるのがタイトスカートです。

理想的なタイトスカートは無駄な線や緩みが無く、体に立体的に沿った釣鐘型になります。
この理想形に仕上げるために、縫製工場では様々なことを考えながら制作していきます。

まず、体の横の垂直方向の曲線と、おへそから脇に向かう水平方向の曲線の形を計算し、型紙を作ります。さらに、ダーツの長さ、深さと入れる位置を決めます。
縫製の面でも、ベルトを付ける時に、スカート側の縫い代の上部に非常に細かいギャザーを寄せて縫うなど、細かなテクニックを用います。

これらの工夫によって、脇の線が美しく、裾の線も床と平行となり端正なタイトスカートになります。スカートの美しさは縫製の工夫と技術に支えられているのです。

2018年2月11日日曜日

平面から立体を作るということ

服を作るということは、平面から立体を作るということです。服の材料である布地は平面、一方で服を着る体は立体です。もしも布地を切ったり縫ったりしないで体にまとわせると、シーツを頭から被ったように余分なしわやダブつきが出来てしまいます。
そこで、設計段階で各パーツの型紙の曲線を工夫して、これに合わせて裁断し、縫い合わせることで服の各部分の凹凸 (おうとつ) を作ります。さらに、ダーツ (生地の一部分をつまんで縫うこと) やギャザー (生地に複数のしわを入れて縫うこと) を配置して、型紙の工夫だけでは取り切れなかったしわとダブつきを取り除きます。
例えば袖の型紙を作るときに、単純な長方形では寸胴の筒が出来上がってしまいます。そこで、腕の太さを考慮して幅を滑らかに変えたり、脇のところは短く、逆に肩のところは長くなるように設計します。さらに、袖の取付時には裁断された布に細かいギャザーを入れながら縫製することで、膨らみをつけます。こうすることで、体にフィットしながらも腕を動かしても引っ張られることがありません。
このような工夫によって、美しく歪みがなくて着心地の良い服を作ることができるのです。